◆アオノニゴウ◆ ―短編―

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 ―17:「暗号と謎々」 ―  

うなだれる時…流される景色の向こうに
一瞬目に飛び込んできた“アレ”はなんだ!?

ソラは青の首を抱きしめたまま立ち上がると、走り出した。
墜ちて来る残骸の破片が彼の肩を掠めて服を破り、その下の皮膚を裂いた。
鋭い痛みが走る。

でも、そんな事を気にしてる暇は無い。

アレは、まさか、そんな馬鹿な!!

そこは…

人っ子一人いない、瓦礫や廃材が渦高く積みあげられた危険な大地の真ん中。
オイルの燃える匂い、鉄錆び、埃、黴と言ったありとあらゆる終りに近い
陰鬱な匂いが立ち込める、混沌の権化。

そこで彼は銀色に輝くをみつけた。

箱と言うよりは棺と言った方が良さそうなその箱には
小さな電子プレートがある。

「まさか…!!!」

彼は指をその電子プレートにかざす。
ピッと微かな音がしてプレートが美しい深い蒼に染まり、発光する。
指紋認証装置…間違いない!
呼応する様にプレートに文字が浮かび上がる。
そこにはこう書かれていた。

「Please write the my name.My name is BLUE …
No.1 or No.2? Which do you think?」


「えっ!?」

どう言うコトだ?

―私の名前を書いてください。青の1号でしょうか?
青の二号でしょうか?さぁ、どっち?


この中にセイがいる。ならば迷い無く1号だろう。
けれど…
今まで全ての暗号は、「アオノニゴウ」だったじゃないか。

「セイ…」
この期に及んでどうしてこんな意地悪するんだよ。
いつも君はそうやって俺を脅かそうとする。
タチが悪いよ…。

ソラは青を見つめた。綺麗なブルーの肌。

そうだね。

間違う筈ない。

だって、ずぅっとそうだったんだから。

ソラは人差し指を伸ばして、プレートにゆっくりと書き込んだ。

―アオノニゴウ― と。

ピピー…、と微かな電子音が静かな周囲に鳴り響き、
銀の箱の蓋がバクン、と開く…


箱の中には生命維持装置に守られ、数々のプラグに繋がれ、溶液に浸かる…
青白い肌をした白髪のセイの体がそこにあった。



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