◆アオノニゴウ◆ ―短編―

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 ―15:「光と影」 ―  

―オマエ ハ 俺ノ ゴーレム
ラビ ガ 願エバ 土クレニ 帰ルノト 同ジ!
俺ハ オマエ ノ 創造主。
俺ニ逆ラウナラ、望ミ通リ 鉄屑ニ 戻シテヤロウ!!


その声が響き渡った直後、青白い発光体は更に眩しさを増した。
バッ、と爆発の様に光りが爆ぜる。
猛烈な勢いで空中に雷の様な音の波紋が広がり、
紫や青の竜に似た形の火花が空中を這って、

僅かに形を残していたビルはその震動だけで倒壊した。

音が大地に浸透していく…大地はその音を吸い込み…
少しずつ…少しずつ揺れ出した。


その微かな震動にソラは目を覚ます。
「…イケナイ…!!」
慌てて体を起こしてソラは青を探した。
青は上空を睨んで立っている。
「青!!危険だ!セイは地殻への共鳴震動を起こそうとしてる!
巨大な地震を起こす気だ…逃げないと巻き込まれるぞ!!」

青はソラの方を振り向いた。
その顔を見て、彼は息を呑んだ。

…微笑んでいる?

無表情なアンドロイド
…対人への感情認識機能は存在していても
彼自身の感情や感情表現を完璧に設定していないと
セイは以前そう言っていた。
その青が…微笑んでいる…
今まで見た、誰よりも、綺麗で、晴れやかな微笑みで。

次の瞬間青が叫んだ。

「君で良かった。」

「青………!!!」

「ありがとう。」

―ピッ…


iいつか聞いた微かな電子音がソラの脳裏に蘇る。


待って、
行かないで、



一緒にセイを止めるって約束したじゃないか…。

叫んでみたが、セイの放つ音で全て掻き消されてしまう。


静寂に似た轟音の中

地面を蹴って、青が空を飛んだ。



ソラはその真下へ走りこんで行く。


…いやだ、青、俺は君を又バラバラにする為に蘇らせたんじゃない…!!


青の小さな影が巨大な光に飲まれて消えた。


「青――――――――――――――!!!!」


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