WONDER WOLF WORLD
憧 憬
そこは全ての季節が溢れておりました
私はグルグル廻る空間で
ゆらめく景色の中に 輝く存在をみつけました
咲き乱れる無数の花は 霞む霧に巻き上げられ
淡さと鮮やかさを交えて 煌々と光輝き
その花びらは大気によって上昇し
やがて空へ呑み込まれてゆきました。
降る雨は割れガラスのように鋭く氷のように冷たく
雲間から 燦々と照りつける太陽は
何故かそれらを溶かしていくのです
矛盾に満ちた謎めく世界はそこに存在し
私もそこから生まれてきました
そこは全ての季節が乱れておりました
獣はギラギラ光るその目で たゆとう川面に映る
憧れの姿をみつけました
息も切らさず過ぎてきたモノには 誰も微笑まず
悶えてのたうつモノを愛して
鈍さと鋭さを重ねて きりきりと迷い澱む
思考の渦は 憧憬によって上昇し
やがて空へ飛び去っていくのでした
◆2003.7.31◆
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