GLOW UP!

第1章 北薗崇【慣れない遊び2-2】

自分達が開発をする場所からは少し離れた駅近くの繁華街は仕事帰りの人々で賑わっていた。
俵に連れられて、一本違う通りへ行くと雰囲気がガラリと変わった場所へと出たので、北薗は驚く。辺りを見回しながらギラギラとした灯りの下を歩いて少しすると、スーツ姿の男が二人の側へやってきて声をかけてきた。

「お兄さん達! いかがですか? 今日からの新人の女の子もいますよ。19歳ですよ!」
「!!(19歳…未成年じゃないか)」
「かわええか?」
「それはもう!」
「なんぼや?」
「今でしたらワンタイムお一人様5千円です」
「ほな、行こか。北薗、ぼさーっとしてへんで行くで」
「はっ、はい!」

店の中へ入ると、まだ客の人数は少ないらしく待機している女の子達が一斉に立ち上がり『いらっしゃませー』と声をかけた。皆、それぞれ洋服というよりは布一枚に近い服装で肌を露にしているのが印象的だ。

「ひー ふー みー。五人…しゃあないか」
「先輩、どうしたんですか?」

仕方ないと聞いて問題があったと思った北薗は俵へコソッと耳打ちをする。が、すぐに『問題ない』と答えが返ってきて手を左右に振った。

「兄ちゃん、どうせ平日で暇なんやろ? そこにいる女の子達、みんなつけてええよ」

案内された席で、ボーイにおしぼりを渡された後、俵はサラリと言う。その言葉を聞きつけた女の子達がワッと歓声を上げた。状況がわからない北薗は、もう任せたとばかりに黙って状況を見つめるだけに徹した。

「北薗も、お前等も好きなもの飲めよ」
「はい」
「いただきまーす♪」

好きな酒といったって、普段飲むのはせいぜい発泡酒か焼酎ぐらいだ。洒落たメニュー表を片手に悩んでいると、きゃあきゃあと喜ぶ女の子達とは少し格が違う女性が北薗に声をかけてきた。

「お兄さんは何にするの?」

多分この中でも年齢は上の方だろう。それにしても綺麗にしている女性だ。この中の女性を覚えろといわれても悩んでしまうが、この女性だけは覚えられそうだ。そんな事を思いながら、視線をフと下にすると触れてしまいそうな近い場所に胸の谷間がチラリと見えて、北薗は思わずゴクリと唾を飲んだ。

「しょ…焼酎で…」
「割り物は?」
「へっ!?」
「まさかロックじゃないでしょ?」
「ええ、えっと…」
「北薗! 何ぐすぐすしとんねん! はよ決めて乾杯するで」
「じゃあ緑茶で」
「緑茶ね。私も割り物で緑茶が一番好きなの」

メニューを北薗から受け取り女性はボーイへとオーダーを伝えた。その間、目を離さず微笑んだままなので北薗は照れくさそうに笑って返した。


初コメント…
むぅ…何となくイメージで俵を関西の人っぽくしてしまいました。書いている本人は関東人なので、「ちゃうやろ!」という突っ込みをしつつ、生ぬるく読んで下さい。(ここはこう言うといいよ!という言い回しを教えてくださる方歓迎v)


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