WONDER WOLF WORLD

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  ゆらめき  

珈琲・紅茶の湯気も 紙巻きの煙も お香の煙も 霧も霞も
僕にとっては大した違いはないのです。

揺らめくその姿様々に
生まれる場所は違えど
そのくる・くるり と ゆら・ゆらりと
踊るように大気を這う姿は
僕にとっては永の憧れに違いはないのですから。

彼等はスグに消えてしまうのです。
己が役目を知っているのです。

その姿に胸を切なくさせられるのです。

ひたすらに美しいと感じるのです。



珈琲と紅茶を入れた時の湯気は粒の大きな揺らめきです。
紙巻きの火はぢりぢりと赤光を放ち
そこから立ち上る煙は乾いた薄紫です。
お香は込められた色と香に殉じて
やはり乾いた数々の色を放ちます。
大雨の後の朝靄の夏の田畑は濛々と様々なる
深みの白を帯びて煙るのです。

珈琲・紅茶の湯気も 紙巻きの煙も お香の煙も 霧も霞も
僕にとっては大した違いはないのです。

どれもこれも僕を癒してくれる存在で
僕はそれに蕩々と憧れているのですから。


◆2003.12.23◆
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