WONDER WOLF WORLD

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  透 風  

るうぅうう…ひゅうるぅう…

ただ風の中で立ちすくむ私。
人は何故、風に形がないのだ、
などとと思うのだろう。

美しい緑の穂の海と触れあいながら
無数の風が通りすぎる。

透明だけど私にはみえる。

水晶のように透き通った
大小様々の形をした竜が
群を成して通り過ぎていく。
時折、柔らかな
黒い、美しい影を後に残して。

ココハドコ
ココハドコ?

何度も何度も問いながら。

人の世と違う世の境目に立つ、本の一瞬。

夢幻があるのだとすれば、
きっとこの瞬間なのだろう。

空の青がただ美しい。

風と共に 緑の野を 後にする 夢を見た。

るうぅうう…ひゅうるぅう…

影を落としてただ走れ。


◆1995.5.3◆

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