金の吐息/キンノトイキ

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  君と言う名の嘘をつけ  

激しい雨に抵抗する気力もなく
ただ空から絶え間なく落ち続ける水が
窓を激しく叩き続ける音を聴きながら目を閉じた。
(本当は僕、とてもこの雨に打たれたがっているんだ。)
最近は時の流れるのが本当にあっと言う間で
気が付くと まるで時間に置いてきぼりを喰った様に
…夜を迎えている。
(真夜中に目が覚めて鼓動の強さに震えている。
TVは相変わらずいつも通りサ。)
何か忘れモノはないか?
今日と言う日の時間の中に
何か忘れモノをしてきてはイナイか?
どこかでそんな声が聞こえたような気もしたが、
多分そいつはただの空耳だったんだろう。

人間の本質は意外にも見た目に現れる。
特にその目に現れる…と、言うのが我が持論。

鶏が狭い空間に何羽もいると
強い鶏達が弱い鶏をつついて虐める…と
心理学の教授が言っていた。
随分の過去に奴等が僕を閉め出したがったのも
そういう理由だったのかもな。
否、未だそうなのかも知れないが。
しょせん人間も動物。 その本能を隠せない。

そうしてお前はこの世界にそぐわないよ・と
嘲笑われて・驚く。

じゃぁどうしたらいいって・それは・だから

君と言う名の嘘をつけ。

獣なら獣らしく牙があるぞと獲物に向かってうそぶくのサ。
噛みついてやるぞと威嚇して、笑うように 顔を歪ませて。
奴等は鶏で俺は狼なんだとちっぽけな小屋の中で
一暴れしてやろうぜ。

二度と涙なんて・決して誰の前でも流すモノか。

それにしても今夜の雨は随分と強い。
(やっぱり 僕、とてもこの雨に打たれたがっているんだ。)

−喉笛に喰らいつけ!−
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