金の吐息/キンノトイキ

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  昔々にあの人が  

昔々あの人がいいました。
「 思い出さないで欲しいのです。
思い出す為に忘れられるのが イヤなのです。」 …と。

私はこう言葉を続ける。

「いっそ忘れてください。
私の存在などはじめから
誰かの夢のようなモノだったのです。」

目が醒めれば そこは現実。

酔う様に生きて夢の様に死んで行きたいのに
誰かが私の目を醒まさせようと また 肩を揺らす。
そうなのです。
貴方にとって私は
思い出すにも満たない程 
ちっぽけな存在なのですから。


「思い出さないで欲しいのです。
思い出す為に忘れられるのが イヤなのです。」


嗚呼、貴方の胸に私の居場所なんて
きっと どこにも有りはしないというのに。

けれど想う。

貴方が私を裏切らないなら
私も貴方を裏切らない。

誰かが貴方に
嘘をついたり
欺いたりしても

私は決して貴方を裏切らない。

貴方が痛みを訴えるなら
いくらでも受け止めてあげましょうよ。

こんな私で良かったら。


◆2003.11.12◆
−Long Long Ago −
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