金の吐息/キンノトイキ

戻ル | 進ム | 目次

  砂丘  

昔・友人が僕の曲を聴いて
「お前の曲は深い砂漠のようだ」といったのが
今でも記憶に残っている。

ヤツが聴いたのは大昔の曲だから
今のはどうなっているかわからないけど
ただ時折ふとおもいだすのだ。

あの時の僕はとても枯渇していたんだろうと

あの時気が付かなかったけれど。
どうしてあんなに水を欲していたんだろう。

砂の上で月を見上げて嘆く罪人のように
ただひたすら流れ出てくる歌を口ずさみながら
あの人に片恋していたからなのか。

きっとヤツの言葉にドキリとさせられたんだ。
的を突かれて痛かったに違いない。

だから思い出すのだろう。

今でもあの知人の言葉が忘れられない。

「お前の曲はナニかを求めて彷徨う
砂漠の旅人の歌だ」…という言葉を。

多分、今でも枯渇している。

潤う水を求めて

今も彷徨っている。

僕の

魂は。


◆2002 9.10◆
戻ル | 進ム | 目次
■禁・無断転載掲載■
Copyright (c) SPACE AGE SODA / AKASHIC RECORD / 犬神 博士 All rights reserved.